1990年代末期、Windowsのフリーソフトとして「スクリプタ」というものが普及します。これはゲーム、主にアドベンチャーゲームの制作ツールで、専門的なプログラムの知識がなくともスクリプトという簡単な命令構文でゲームを動作させるツール。その中で特に有名だったフリーソフトが、「NScripter」と「吉里吉里」というもの。これらは数々のゲーム制作に使われ、名作を生み出す環境を縁の下から支えてきました。
その「吉里吉里」のバージョンアップ版「吉里吉里2」が、とうとう2017年末をもって配布終了となりました。

ゲーム制作アプリ「吉里吉里」公式配布が終了へ―「Fate」シリーズでも採用
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スクリプタの需要が高まったのは、2000年代初期。当時ちょうどパソコンのエロゲーがブームになっていた時期。(参考:2000年前後、Leaf・Keyのゲームがインターネットに及ぼした影響
最初のうちは各社で独自にそのゲームシステムを作っていましたが、そのうちこれらのフリーでプログラムの専門知識がそこまでいらないスクリプタが使われるようになります(商用有料の場合もあり)。
さらにこの頃から同人でもアドベンチャーゲームが増え、それらにも「NScripter」や「吉里吉里」等が使われ、一気に広まってゆきます。
今はソシャゲ-でも人気となっている『Fate』シリーズの制作元、TYPE MOONを有名にしたのは、同人アドベンチャーゲーム『月姫』なのは有名ですが、そこでも最初「NScripter」が使われ、その後「吉里吉里」が使われるようになり、Fateの初作『Fate Stay Night』でも使われました(相当カスタマイズはしてあったようですが)。

そんな時代からすでに10年以上が経ち、Nscripterは初期のものが開発終了してNScripter2となっており、そしてこの度吉里吉里も吉里吉里2となりましたが、その最終更新が2010年とだいぶ前。
そしてこの度、それらを配布していたkikyou.infoも閉鎖。
しかし、後継となっている吉里吉里Zはすでに公開されており、終了というよりはメジャーバージョンアップと言ったほうが正しいでしょう。また、旧来の吉里吉里2もGPLのため再配布は可能(ただし公式では吉里吉里Zへの移行が推奨されている)。

これからも、同人やインディースなどでのゲーム制作を支えていってほしいです。