「婚活」という言葉が各種媒体で盛んに言われ始めたのは、去年(2009年)の今頃くらいからでしょうか。調べてみたら、2008年の中頃にはもう登場していますね。
今更その言葉の意味を説明するまでもないでしょうが、要は結婚活動のこと。そして昨年はこの言葉が使われた記事を多く見たり、ドラマに使われたりもしましたね。

30~40歳代の働く女性に 「就活」ならぬ「婚活」がブーム (1/2) : J-CASTニュース

しかし、ネット上においてはこの言葉は否定的、もしくは嘲笑的に捉えられている傾向が強かったように思えます。たとえば以下のようなもの

婚活について

こうなっている理由を語り出すと長くなる上、結論も出そうにないのでやめておきますが、男性から見るとあまりにも年収などを優先する点や、婚活というもの自体が商業的なところから出てきたように見える点が肯定的に捉えられない点などがあるでしょう。
さて、このような婚活の流れ(肯定、否定含め)の中、それを利用したひとつの試みが生まれていました。それが「婚活シート」。
Pork cutlet (Tonkatsu)
Pork cutlet (Tonkatsu) / jetalone



野球場で婚活?


「婚活シート」とは、昨年、プロ野球球団の日本ハムファイターズが本拠地の札幌ドームで始めたサービスで、詳細は以下の通り。

■楽しそう…ハム「婚活シート」設置へ(野球) ― スポニチ Sponichi Annex ニュース ※リンク切れ
全国の独身男女の皆さん、札幌ドームで“コンカツ”しませんか?日本ハムが球界初となる「婚活シート」を設置することになった。7月11、12日に札幌ドームで行われるロッテ戦のバックネット裏C指定席を、18歳以上の未婚の男女50組100人に販売。男性購入者は球場入りの際に手渡された目印を洋服につけ、女性にはカードが配布される。目印とカードが同じマークの男女が隣同士で観戦を楽しむ企画だ。  近年、時代背景や経済情勢などの影響で若者の4人に1人が結婚できないといわれる。08年には家族社会学者・山田昌弘氏と少子化ジャーナリスト・白河桃子氏の共著「“婚活”時代」がベストセラーとなり、就職活動の“就活”同様に“婚活”との言葉が世間にも広く認知されるようになった。結婚するには意識的な結婚活動が必要な時代。だからこその企画だ。婚活シート購入者には抽選でペア航空券などもプレゼントされる予定で、さらにイニング間には席替えタイムもあり、ドキドキ感満載のイベントになりそうだ。

つまり、札幌ドームで野球観戦をしつつ婚活を行おう、という企画で発案されたもののようです。

しかし、これに対してのネットでの反応はかなり冷ややかなものでした。それはこの頃になると「婚活」というものがかなりしつこく各種媒体で言われ始め、「猫も杓子も婚活か」的なものを感じていたせいもあるでしょう。  そしてこの婚活シートですが、続報として次のようなニュースが流れました。

ハム婚活シート女性は即日完売!男性不足 - 野球ニュース : nikkansports.com

これによると、50組計100人の募集に対し、女性の応募者だけ初日で定員を超えてしまったのに対して、男性応募者は十数人ほどしか(この時点で)集まらなかったということ。このことが「婚活」に対する男性と女性の温度差を示すということでネット上でも少し話題になりました。

ただ、このようなネットの冷ややかな反応に対して婚活シートは少なくとも女性側ではすぐ定員をオーバーするくらいの大盛況で、定員も急遽増加し、150人ずつ2日間で計600人となった模様です(男性側が定員いっぱいまで集まったのかどうかは不明)。

他の球団も後に続く


しかし、ネット上のそういった反応にもかかわらず、他球団でもこの試みは実施されました。そのひとつがセ・リーグの中日が行ったもの。

球団が婚活参入、「婚活シート」が大人気! - 女性では抽選倍率10倍も | ライフ | マイコミジャーナル
婚活シート人気には他球団も注目。中日球団では名鉄観光からの提案を受けて、今月19日の横浜戦(ナゴヤドーム)に合わせたイベント「中日ドラコンズDE 婚活」を開催予定。野球観戦をバスツアーに組み込んだ形の"豪華版"で参加料は男性13,000円、女性10,000円。野球観戦後には結婚式場での2次会があり、移動中の車内でも自己紹介の時間や男性が替わるシャッフルタイムなどを設けた。7月下旬から受け付けを開始したが、1週間後には予定数の120 人を超える180人(キャンセル待ち約40人)となり、締め切った。

こちらも大盛況だったようです。ただ、やはりタイトルの「女性では抽選倍率10倍も 」を見ると、応募は女性比率のほうが高かった模様。
あと、サッカーでも同じようなものがあったそうです。


婚活シートでカップル誕生


そして上の結果どうなったかというニュースが以下。

■カップル34組!社会に貢献する婚活シート 第2弾は?(野球) ― スポニチ Sponichi Annex ニュース ※リンク切れ
中日“婚活シート”大成功!めでたく3組ゴールイン ― スポニチ Sponichi Annex 大阪

日ハムのほうは各150人中34組が、中日のほうは各120人中14組のカップルが成立(3組の婚約者が生まれている)とのこと。ただ、これは直後の調査でカップルの基準も定まっていないのでカウントが曖昧なところもあるかもしれません。この比率が多いか少ないかは各自のご判断にお任せしましょう。ただ、定員をはるかに超える程の応募があったということですので、「婚活シート」としての企画自体は成功と言えるでしょう。


ちなみに先日、日ハムの婚活シートで出会った人が、先日始球式を行ったとのこと。おめでとうございます。

■asahi.com(朝日新聞社):日ハム「婚活シート」でゴールイン、カップルが始球式 - スポーツ ※リンク切れ


今年も開催される婚活シート


去年の傾向を見るに、少なくとも企画自体は成功したということで、思った通り今年もやるそうです。

■日本ハム6月に婚活シート開催/野球/デイリースポーツonline ※リンク切れ

余談ですが、去年は日ハムは好調で優勝まで突っ走りましたが、現在日ハムは不調で最下位となっています(2010年4月10日現在)。不調だとトップ独走時に比べてファンの観客動員数が減るものですが、これが今年の婚活シートにどう影響するのか、ちょっと興味があります。ファンでない人には関係ないだろうけど、日ハムファンの男性はちょっと躊躇するかもなあ。



婚活という言葉はいつまで流行るのか


「婚活シート」の是非については、人によっていろいろあると思います(「婚活」自体もそうだろうし)。野球ファンは野球観戦目的じゃないところで来て欲しくないと思う人もいるでしょうし、現在の不況下で動員数を増やし、球団経営にプラスになるなら、チームにもプラスになるし、ここでファンが増えるかもということで許容もしくは歓迎する人もいるでしょう。ただ、今みたいな年に1、2回の企画だから許されるところであり、もっとやるようなら野球ファンからも論議が起こるかもしれません。

ただ、個人的には正直「婚活シート」という名前の企画はあと数年、下手をすれば今年で無くなるような気がします。というのはおそらく来年くらいには「婚活」という言葉の流行語?としての寿命が終わる気がするので(結婚活動自体が終わるわけではなく、あくまで流行語としての寿命)。まあ、似たような行為に対して新しい言葉が名付けられるような気はしますが。