最近、話題になっているニュースがあります。
■阪南市立病院、医師8人が辞表提出 新市長就任日に - MSN産経ニュース ※リンク切れ
記事を見ると、阪南市の阪南市立病院では、医師の大量退職で昨年7月に内科が休診したため、前の市長が歩合給を導入して医師の平均年収を約2000万円に引き上げ医師確保を進めて債権に乗り出していたものの、10月の市長選で現職を破り初当選した福山市長が歩合給の見直し検討などに言及していたため、その不信がこの大量離脱に繋がっているようです。
このままでは医師不足で再び閉鎖せざるを得なくなるため、問題となっているということ。ただ、医師が銭目的でこういったことをしているというだけの味方は危険で、信用問題や環境(立場も含め)をはじめとする複雑な事情が医師側にもあるようです。もちろん自治体側にも、財政的な事情があるのでしょうが。
ただ、医院が閉鎖となると、医療サービス的な問題や医療収益がなくなることはもちろん、そこで雇われている人の問題、そして閉鎖に伴う費用の問題(職員への退職金の支給など)で、輪をかけてとんでもないことになる可能性があります。
ちなみにもう一件似たようなニュースがありました。
■大和市立病院:来春、産科医1人退職で分娩休止へ 新規予約、既に休止 /神奈川 - 毎日jp ※リンク切れ
さて、このニュースを見た方は、デジャ・ヴを感じた人もいらっしゃるのではないでしょうか。というのは、似たような事件が過去にもあったからです。それは2006年に起きた尾鷲総合病院の産科医問題。
Peggy_Marco | Pixabay
これはある三重県にある尾鷲総合病院において、2006年10月、産婦人科閉鎖の危機が報道されます。それはそこに勤務していた唯一の産婦人科医が辞職をしたため。その産婦人科は一度休止していたようなのですが、その医師を招聘することで再開。しかし2006年9月に辞職することになってしまいました。これにより、市民、特に妊婦の間にも動揺が走りました。
さて、医師が辞職した原因は何か。それはこの医師に対する報酬に関連する問題があるようです。とはいってもその報酬が低すぎて折り合わなかったというのではなく(実際それまでは勤務していたのですし)、その費用において議会でとある発言があったため、と言われています。
この問題については以下のページにまとまっています。
■「三千万なら大学病院の助教授が来る。報酬高すぎ」 産科医消滅の危機、実は中傷が原因…三重・尾鷲
そこからのニュース
■伊勢新聞 Webニュース
どうも一部議員が「市長が提示した4800万円は他の医師の3倍以上でむちゃくちゃな額だ。 3千万円で公募すれば大学の助教授クラスが飛んで来るという話もある。 風聞として産婦人科医師の開業時の話がいろいろ入ってくる。話しにならない高額だ」などと強く指摘する発言があり、それにより「残る気持ちをなくした」というのが原因だそうです。
ちなみに産科医は激務で、深夜に産気づいた患者が運び込まれた時には寝ていても対応しなければいけないため(さらに母子の生命に関わる重大な医療を行う)、複数の交代制でないと医師に負担がかかりますが、この病院ではこの医師が1人で担当していたようです。その理由はもちろん、産科医が確保できなかったからですね。あと、悲しいのがこれ。
■尾鷲総合病院 産科医師「退職の儀式はなく、本人からもあいさつもなく、病院を後にした」|勤務医 開業つれづれ日記
あくまで個人的な見解ですが、たとえ年収が5000万のところでも、周りから非難されていたらどんな職業であろうとも割り切っていない限りは心が折れてやめたくなるでしょうね。職業に信念を持っている人なら特に。さらには産婦人科医師なんて、今や絶対的不足なのですから(2年前にその認識がなかったのかも)。逆に報酬が低くても、感謝されればそれを引き受けようとする人もいるでしょう(もちろん人によりますが)。
おまけに、どうも見る限り、この産科医を招聘したのが市長だったので、その費用面での責任問題において、政争の道具にされてしまっているような印象を受けます。
■市議会ウォッチング - 新小児科医のつぶやき
ただ、言えること。議員という立場の人は、その一言が重大な問題を引き起こす可能性が高いということ。これは医療問題に限ったことではありませんが。
そして、その後どうなったか。このまま休業……ではなく、いろいろあった末に再開できました。
現在の当病院にも、ちゃんと産婦人科があります。
ただ、これはかなり幸運とも言われています。プロから見ても、素人から客観的に見ても。
■医師2人確保は幸運
■ある産婦人科医のひとりごと: 尾鷲総合病院、産婦人科医を2人確保 ※リンク切れ
しかし、ここでうまくいったために、問題が今まで持ち越され、余計悪化して各地で起きているとも言えます。
慢性的に医師不足な昨今、同じような問題はおそらくかなり出てくるでしょう。特に訴訟などの件もあり、リスクの高い産婦人科では。私の家の近くでも産婦人科は3件あったのですが、2件は閉院、1件は扱い中止となってしまいました。どうも閉院した一件の子供も医者なのですが、「産婦人科医はリスクが高いので跡は継げない」と言われたそうです。
さて、今後どうなるのでしょうか。この前起きたようなたらい回しによって、死亡してしまう母子が二度と出なければいいのですが。表面的ではない、根本的な対策が必要となるでしょう。
■阪南市立病院、医師8人が辞表提出 新市長就任日に - MSN産経ニュース ※リンク切れ
記事を見ると、阪南市の阪南市立病院では、医師の大量退職で昨年7月に内科が休診したため、前の市長が歩合給を導入して医師の平均年収を約2000万円に引き上げ医師確保を進めて債権に乗り出していたものの、10月の市長選で現職を破り初当選した福山市長が歩合給の見直し検討などに言及していたため、その不信がこの大量離脱に繋がっているようです。
このままでは医師不足で再び閉鎖せざるを得なくなるため、問題となっているということ。ただ、医師が銭目的でこういったことをしているというだけの味方は危険で、信用問題や環境(立場も含め)をはじめとする複雑な事情が医師側にもあるようです。もちろん自治体側にも、財政的な事情があるのでしょうが。
ただ、医院が閉鎖となると、医療サービス的な問題や医療収益がなくなることはもちろん、そこで雇われている人の問題、そして閉鎖に伴う費用の問題(職員への退職金の支給など)で、輪をかけてとんでもないことになる可能性があります。
ちなみにもう一件似たようなニュースがありました。
■大和市立病院:来春、産科医1人退職で分娩休止へ 新規予約、既に休止 /神奈川 - 毎日jp ※リンク切れ
さて、このニュースを見た方は、デジャ・ヴを感じた人もいらっしゃるのではないでしょうか。というのは、似たような事件が過去にもあったからです。それは2006年に起きた尾鷲総合病院の産科医問題。

Peggy_Marco | Pixabay
産科医の辞任とその原因と思われるもの
これはある三重県にある尾鷲総合病院において、2006年10月、産婦人科閉鎖の危機が報道されます。それはそこに勤務していた唯一の産婦人科医が辞職をしたため。その産婦人科は一度休止していたようなのですが、その医師を招聘することで再開。しかし2006年9月に辞職することになってしまいました。これにより、市民、特に妊婦の間にも動揺が走りました。
さて、医師が辞職した原因は何か。それはこの医師に対する報酬に関連する問題があるようです。とはいってもその報酬が低すぎて折り合わなかったというのではなく(実際それまでは勤務していたのですし)、その費用において議会でとある発言があったため、と言われています。
この問題については以下のページにまとまっています。
■「三千万なら大学病院の助教授が来る。報酬高すぎ」 産科医消滅の危機、実は中傷が原因…三重・尾鷲
そこからのニュース
■伊勢新聞 Webニュース
どうも一部議員が「市長が提示した4800万円は他の医師の3倍以上でむちゃくちゃな額だ。 3千万円で公募すれば大学の助教授クラスが飛んで来るという話もある。 風聞として産婦人科医師の開業時の話がいろいろ入ってくる。話しにならない高額だ」などと強く指摘する発言があり、それにより「残る気持ちをなくした」というのが原因だそうです。
ちなみに産科医は激務で、深夜に産気づいた患者が運び込まれた時には寝ていても対応しなければいけないため(さらに母子の生命に関わる重大な医療を行う)、複数の交代制でないと医師に負担がかかりますが、この病院ではこの医師が1人で担当していたようです。その理由はもちろん、産科医が確保できなかったからですね。あと、悲しいのがこれ。
■尾鷲総合病院 産科医師「退職の儀式はなく、本人からもあいさつもなく、病院を後にした」|勤務医 開業つれづれ日記
あくまで個人的な見解ですが、たとえ年収が5000万のところでも、周りから非難されていたらどんな職業であろうとも割り切っていない限りは心が折れてやめたくなるでしょうね。職業に信念を持っている人なら特に。さらには産婦人科医師なんて、今や絶対的不足なのですから(2年前にその認識がなかったのかも)。逆に報酬が低くても、感謝されればそれを引き受けようとする人もいるでしょう(もちろん人によりますが)。
おまけに、どうも見る限り、この産科医を招聘したのが市長だったので、その費用面での責任問題において、政争の道具にされてしまっているような印象を受けます。
■市議会ウォッチング - 新小児科医のつぶやき
ただ、言えること。議員という立場の人は、その一言が重大な問題を引き起こす可能性が高いということ。これは医療問題に限ったことではありませんが。
奇跡的に産科医確保
そして、その後どうなったか。このまま休業……ではなく、いろいろあった末に再開できました。
現在の当病院にも、ちゃんと産婦人科があります。
ただ、これはかなり幸運とも言われています。プロから見ても、素人から客観的に見ても。
■医師2人確保は幸運
■ある産婦人科医のひとりごと: 尾鷲総合病院、産婦人科医を2人確保 ※リンク切れ
医師不足の問題は解決していないどころか、これから悪化の一途を辿る可能性も
しかし、ここでうまくいったために、問題が今まで持ち越され、余計悪化して各地で起きているとも言えます。
慢性的に医師不足な昨今、同じような問題はおそらくかなり出てくるでしょう。特に訴訟などの件もあり、リスクの高い産婦人科では。私の家の近くでも産婦人科は3件あったのですが、2件は閉院、1件は扱い中止となってしまいました。どうも閉院した一件の子供も医者なのですが、「産婦人科医はリスクが高いので跡は継げない」と言われたそうです。
さて、今後どうなるのでしょうか。この前起きたようなたらい回しによって、死亡してしまう母子が二度と出なければいいのですが。表面的ではない、根本的な対策が必要となるでしょう。