『「ロッチ」のシールを売り出したコスモスはその後どうなったか』においてコスモスとロッチのことについて書いたら、妙に反響が大きくてちょっと驚いています。みんなロッチ好きなんだなあ(アレゲな意味で)。
さて、それだからじゃないですが、当時もうひとつあったこの手のダークさを持ったもので有名なものについて今日は書いてみようと思います。
その名は「ハッカーインターナショナル」。
Floppy-Disk-1.44-Mb_FujiFilm-MF2HD_82374-480x360 / Public Domain Photos
このタイトルのゲームを知っている人は、Hなひとね……じゃなくて、相当アレ方面のゲームに詳しい人だと思います。これは、スーパーファミコンやPCエンジンで出ていた、ハードメーカー非公認のソフト。つまり、普通にゲームショップで流通しているソフトのように、各ハードメーカーとライセンス契約を結んで認可をとらなかったものです。
これを発売していたのは、ハッカーインターナショナルという会社。この会社は任天堂などの許可を受けずに、ファミコンのROMカセットやディスクシステムのソフト、その後はPCエンジンのソフトを販売していました。そして内容の多くは、ハードメーカーを通したらまず認可を受けないであろうアダルト系のソフト(もっとも当時のグラフィック能力でのアダルトですが)。しかし、別件で訴訟を受けたことはあっても、このメーカーのソフトはPCエンジンの終了までとうとう発売され続けました。
実はこの会社、1回任天堂から訴えられているのですが、実はそれはこのようなアダルトソフトを出したことではなく、前述のように訴えられた件も、ファミコンの本体を改造して、連射や強制ポーズなどパワーアップさせる機能を持った「Hacker Junior」というものに対してなのですよね。これ、相当昔のゲーム雑誌ユーザーなら、「ファミコンの本体改造します」という広告が、黒くなったファミコンの写真とともに載っていたことがあるのを見た人もいるのではないでしょうか。
ただ、これ同社では研究されていて、商標や意匠権などを回避していたために、裁判でも問題なしとされたようです。ある意味、ここでも任天堂法務部の無敵伝説は破れています(もっとも、裁判終結あたりでは連射機能も珍しいものではなくなったので、広告も見なくなりましたが)。
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さて、この会社については、昔ファミコン通信で連載されていた鈴木みそ氏の『あんたっちゃぶる』で取材されていて、4巻に収録されています(当時、PCエンジンの最盛期であり、同社もそのソフトを出していた時代です)。これは連載終了前の非常に面白い回なので、古本屋で見つけたら必読です。
※2014/12/22追記
そう思っていたら、今、『絶版マンガ図書館』において、無償で公開されています。いい時代になりましたね。
■絶版マンガ図書館 | あんたっちゃぶる
鈴木みそ『あんたっちゃぶる』(絶版マンガ図書館)4巻P68
それによると、得られたのは以下の通り。
このマンガには、萩原氏の知り合いだというコンピュータ中古会社の社長の話も載っていて、その人は4畳半の部屋に「目標1995年年商1000億」と書かれた紙が貼ってあって、誇大妄想だと思ったということ。しかしそれがソフマップの創業者とのこと。なんだか、この時代ならではのカオスながら夢や希望があった業界らしい話です。
ただ、昔を思い返すと、とある小さな本屋や町のディスカウントショップ、駄菓子屋などで、Amazonの小型段ボール位の大きさの機械がおいてあったことがあります。これは当時、流行しだしていたファミリーコンピューターのディスクシステムの書き換え機の非合法版で、たしか任天堂製のソフトまでコピー販売されていたような記憶があるのですが、これはハッカーとの関連は見あたりませんでしたので、全く別のところがやっていたのでしょうね。ただ、この中にどうもハッカー製のソフトも混じっていたような記憶もあるので、ハッカー社もひょっとしたら間接的な被害者なのかもしれません。
あと、一部で在庫を抱えた某スーファミサッカーゲームのROMに上書きしてリリースされたという『SM調教師瞳』というソフトも、ハッカー社とは関係ない模様。
さて、これもマンガにかいてあるのですが、この社長の萩原氏という人がすごい経歴の持ち主で、このハッカー社を作る前には音楽業界にいて、ツイスト、クリスタルキング、チャー、アラジン、チェッカーズなどを送り出した凄腕プロデューサーで、プレジデント誌にも載った人だそうです。これには鈴木みそ氏もファミコン通信誌上にかかわらず「私はゲームはともかくとして、ハッカーの生き方が好きです」と書いてます。
さて、先ほどこの萩原氏がマップジャパンという会社の社長だということも書きましたが、この会社もどうやらゲームの制作を行っていたらしいです。検索すると『ヒロインドリーム』というゲームが出てきます。あと以下のページを参考にさせていただくと、そこからは「エア・プランツ」というPCアダルトゲーム系の会社(開発作:「Five Years ~ファイブ・イヤーズ~」、「はんど☆メイド」、「ラグナポリス」、「幽世ノ門~かくりよのもん~」、「Snow Memoria ~忘れえぬ想い~」、「とりあえず えあぷらんちゅ!」、「Dearest Vampire」、「フローライト ~ほたる石~」)にリンクがあったようで、住所も同じだったみたいです。
その後2000年、音楽会社ワイズビジョナリーを設立し、河口恭吾等のプロデュースを行っていたようです。しかしその時には、ハッカーインターナショナルには活動は見られません(まあ、すでにPCエンジンは稼働してないし、パソコンも普及してましたしね)。それでも(認可を受けた)PSソフトはマップジャパンから、アダルトゲームもエア・プランツブランドとして出ていたようですが、2001年、それらは閉鎖されたようです。そしてワイズビジョナリーも消滅。
しかしながらその後萩原氏は、人材派遣のほうの会社ではない、同名のパソコンショップ「グッドウィル」に入社され、アミューズメント事業部部長プロデューサーだったそうです。そこでは「世界コスプレサミット」などに携わられたようです。
■SBG:欧州のレイヤー多数来日!「世界コスプレサミット」
しかしその後、グッドウィルを退社され、子供用プレイグラウンドの会社、キッズリゾートを前述のソフマップの創業者と設立されたようです。2014年に調べ直すと、同社の会社概要に名前はないのですが、ネットでお名前は出て来ます(2013年にお会いした人がいたというところを確認)。
■ファンタジーキッズリゾート 全天候型だから室内の砂場や遊具で元気良く遊べます!
なんだか、ゲーム業界でもこれだけいろいろな経歴を経てきた人ってのも少ないのではないかと、というか、この萩原氏の場合は、あくまでハッカーも通過点にしか過ぎなかったように見えてきます。
まあ、犯罪ならともかく、さすがにもうこんなギリギリの所を疾走してくれるような人は、ある程度まとまってしまったゲーム業界にはなかなか出てこないでしょうね。他で起きていたように、コピーなど犯罪の入る余地も狭くなってきたというのもあるとは思うので、まとまったのが悪いとは言いませんが、やっぱりこういったカオスなものに対してのあこがれってのはありますよね。
■参考:ハッカーインターナショナル - Wikipedia
さて、それだからじゃないですが、当時もうひとつあったこの手のダークさを持ったもので有名なものについて今日は書いてみようと思います。
その名は「ハッカーインターナショナル」。
Floppy-Disk-1.44-Mb_FujiFilm-MF2HD_82374-480x360 / Public Domain Photos
『ボディコンクエスト』『しあわせうさぎ』
このタイトルのゲームを知っている人は、Hなひとね……じゃなくて、相当アレ方面のゲームに詳しい人だと思います。これは、スーパーファミコンやPCエンジンで出ていた、ハードメーカー非公認のソフト。つまり、普通にゲームショップで流通しているソフトのように、各ハードメーカーとライセンス契約を結んで認可をとらなかったものです。
これを発売していたのは、ハッカーインターナショナルという会社。この会社は任天堂などの許可を受けずに、ファミコンのROMカセットやディスクシステムのソフト、その後はPCエンジンのソフトを販売していました。そして内容の多くは、ハードメーカーを通したらまず認可を受けないであろうアダルト系のソフト(もっとも当時のグラフィック能力でのアダルトですが)。しかし、別件で訴訟を受けたことはあっても、このメーカーのソフトはPCエンジンの終了までとうとう発売され続けました。
万全なる訴訟対策
実はこの会社、1回任天堂から訴えられているのですが、実はそれはこのようなアダルトソフトを出したことではなく、前述のように訴えられた件も、ファミコンの本体を改造して、連射や強制ポーズなどパワーアップさせる機能を持った「Hacker Junior」というものに対してなのですよね。これ、相当昔のゲーム雑誌ユーザーなら、「ファミコンの本体改造します」という広告が、黒くなったファミコンの写真とともに載っていたことがあるのを見た人もいるのではないでしょうか。
ただ、これ同社では研究されていて、商標や意匠権などを回避していたために、裁判でも問題なしとされたようです。ある意味、ここでも任天堂法務部の無敵伝説は破れています(もっとも、裁判終結あたりでは連射機能も珍しいものではなくなったので、広告も見なくなりましたが)。
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ハッカーインターナショナルという会社
さて、この会社については、昔ファミコン通信で連載されていた鈴木みそ氏の『あんたっちゃぶる』で取材されていて、4巻に収録されています(当時、PCエンジンの最盛期であり、同社もそのソフトを出していた時代です)。これは連載終了前の非常に面白い回なので、古本屋で見つけたら必読です。
※2014/12/22追記
そう思っていたら、今、『絶版マンガ図書館』において、無償で公開されています。いい時代になりましたね。
■絶版マンガ図書館 | あんたっちゃぶる
鈴木みそ『あんたっちゃぶる』(絶版マンガ図書館)4巻P68
それによると、得られたのは以下の通り。
・別に裏業界系の会社ではない
・社長は「萩原暁」という人で、「ハッカーインターナショナル」と「マップジャパン」という会社の社長 。
・アダルトは菊(国家)と桜(警察)には逆らわない(つまり性器露出などはない)、アーケードゲームレベル
・実はスタッフは、表で有名な人が、裏でこっそりやっている場合もある。
・PCエンジンは、ハードが出る前に著作権や特許権、意匠登録に引っかかるところがないか十分調べた。
・(他のメーカーは何故作らないだろうとの質問に対して)流通経路がないからだろう。うちはPCショップ系の流通を通している。
・PCエンジンCD-ROM2ソフトを出す時は2年近く調べた。実はNECと契約したほうが安上がり。だけど規制がないので今のほうを選んでいる。
・プログラムは人件費が安い台湾に発注。中国には発注したいと思っているけど、お金をもらうと働かなくなるので難しい。
・年商6億程度
ソフマップの話
このマンガには、萩原氏の知り合いだというコンピュータ中古会社の社長の話も載っていて、その人は4畳半の部屋に「目標1995年年商1000億」と書かれた紙が貼ってあって、誇大妄想だと思ったということ。しかしそれがソフマップの創業者とのこと。なんだか、この時代ならではのカオスながら夢や希望があった業界らしい話です。
町に置いてあったディスクシステム書き換え機
ただ、昔を思い返すと、とある小さな本屋や町のディスカウントショップ、駄菓子屋などで、Amazonの小型段ボール位の大きさの機械がおいてあったことがあります。これは当時、流行しだしていたファミリーコンピューターのディスクシステムの書き換え機の非合法版で、たしか任天堂製のソフトまでコピー販売されていたような記憶があるのですが、これはハッカーとの関連は見あたりませんでしたので、全く別のところがやっていたのでしょうね。ただ、この中にどうもハッカー製のソフトも混じっていたような記憶もあるので、ハッカー社もひょっとしたら間接的な被害者なのかもしれません。
あと、一部で在庫を抱えた某スーファミサッカーゲームのROMに上書きしてリリースされたという『SM調教師瞳』というソフトも、ハッカー社とは関係ない模様。
萩原暁という人
さて、これもマンガにかいてあるのですが、この社長の萩原氏という人がすごい経歴の持ち主で、このハッカー社を作る前には音楽業界にいて、ツイスト、クリスタルキング、チャー、アラジン、チェッカーズなどを送り出した凄腕プロデューサーで、プレジデント誌にも載った人だそうです。これには鈴木みそ氏もファミコン通信誌上にかかわらず「私はゲームはともかくとして、ハッカーの生き方が好きです」と書いてます。
マップジャパン、エア・プランツ
さて、先ほどこの萩原氏がマップジャパンという会社の社長だということも書きましたが、この会社もどうやらゲームの制作を行っていたらしいです。検索すると『ヒロインドリーム』というゲームが出てきます。あと以下のページを参考にさせていただくと、そこからは「エア・プランツ」というPCアダルトゲーム系の会社(開発作:「Five Years ~ファイブ・イヤーズ~」、「はんど☆メイド」、「ラグナポリス」、「幽世ノ門~かくりよのもん~」、「Snow Memoria ~忘れえぬ想い~」、「とりあえず えあぷらんちゅ!」、「Dearest Vampire」、「フローライト ~ほたる石~」)にリンクがあったようで、住所も同じだったみたいです。
ハッカー、そして萩原氏のその後
その後2000年、音楽会社ワイズビジョナリーを設立し、河口恭吾等のプロデュースを行っていたようです。しかしその時には、ハッカーインターナショナルには活動は見られません(まあ、すでにPCエンジンは稼働してないし、パソコンも普及してましたしね)。それでも(認可を受けた)PSソフトはマップジャパンから、アダルトゲームもエア・プランツブランドとして出ていたようですが、2001年、それらは閉鎖されたようです。そしてワイズビジョナリーも消滅。
しかしながらその後萩原氏は、人材派遣のほうの会社ではない、同名のパソコンショップ「グッドウィル」に入社され、アミューズメント事業部部長プロデューサーだったそうです。そこでは「世界コスプレサミット」などに携わられたようです。
■SBG:欧州のレイヤー多数来日!「世界コスプレサミット」
しかしその後、グッドウィルを退社され、子供用プレイグラウンドの会社、キッズリゾートを前述のソフマップの創業者と設立されたようです。2014年に調べ直すと、同社の会社概要に名前はないのですが、ネットでお名前は出て来ます(2013年にお会いした人がいたというところを確認)。
■ファンタジーキッズリゾート 全天候型だから室内の砂場や遊具で元気良く遊べます!
すごいなあ
なんだか、ゲーム業界でもこれだけいろいろな経歴を経てきた人ってのも少ないのではないかと、というか、この萩原氏の場合は、あくまでハッカーも通過点にしか過ぎなかったように見えてきます。
まあ、犯罪ならともかく、さすがにもうこんなギリギリの所を疾走してくれるような人は、ある程度まとまってしまったゲーム業界にはなかなか出てこないでしょうね。他で起きていたように、コピーなど犯罪の入る余地も狭くなってきたというのもあるとは思うので、まとまったのが悪いとは言いませんが、やっぱりこういったカオスなものに対してのあこがれってのはありますよね。
■参考:ハッカーインターナショナル - Wikipedia