当時、3DO Realを日本で出していた(もともとの開発は3DO社というところ)パナソニックがゲーム機を新たに出す、というニュースが流れました。そのせいか急に以下のエントリー(旧ブログのほうでしたが)のPVが増えました。
■3DOはあれからどうなったのか : Timesteps
では、今日はその噂の新ゲームハードがどうなったかを書いていくことにします。
February consoles 07 1080081758 / 南宮博士
3DO Realの歴史についてはこの前書いたので割愛します。上のリンクからエントリーをお読みください。
さて、3DO Realが終焉を迎え、その後継機とされたM2もゲーム機としては開発中止となり、その後はマイクロソフトが参入したり、セガがハードメーカーから脱退したりしつつ、任天堂、SCE、マイクロソフトがハードメーカーとして活躍する感じとなります。その間パナソニック(当時は会社としては松下電器産業)は自社のゲームハードとは無縁でした。
ただ、ゲームハードと全く無縁だったかというとそうではありません。任天堂が発売していたゲームキューブのソフトには8cmの独自ディスクが使われていたのですが、これは任天堂と松下電器産業が共同開発をしたものです。
また、DVD-Videoの再生が可能なゲームキューブ互換機の「Q」も、2001年12月14日に発売されました。銀色の見た目が印象的です。
Panasonic Q (SL-GC10) / mbiebusch
これ以降も松下電器が開発の中心となったSDメモリーカードが、Wiiなどゲームの外部記憶媒体として使われることはありましたが、3DOやM2のように自社のハードを製造、販売するという情報は全く出てきませんでした。
しかし2010年の10月4日、とあるニュースが流れます。
■パナソニックの携帯ゲーム機 The Jungle、ティーザーサイトがオープン
■Panasonic、新型オンラインゲーム専用携帯ゲーム機「Jungle」を発表 - GIGAZINE
■Exclusive: Panasonic Jumps Back Into Gaming With A New Handheld: The Jungle(英語)
パナソニックから「The Jungle」という新ハードの情報を載せたティーザーサイドが公開されたとのこと。
この時の(現在もですが)ゲーム市場はAppleのiPhoneアプリやソーシャルゲームなど全く違う角度からの対抗軸はあったものの、昔ながらのゲーム中心のハード市場は任天堂、ソニー、マイクロソフトが席巻していました。そこにM2の中止以来表に出ない存在であったパナソニックがゲームハード事業に参入するというニュースは、驚きを持って迎えられました。
さて、この時の発表では詳細は書かれてはいませんでしたが、ティーザーサイトで公開されたものの動画や画像などから、ノートパソコン(ネットブック)のような大きさでキーボードがついている携帯機で、ソフトはオンライン専用ということが判明しました。つまり今までのゲームハードのようにパッケージソフト+ハードではなく、オンライン専用に特化する計画のものだったようです。
そして、第1弾としてブラウザゲーム「BATTLESTAR GALACTICA ONLINE」が予定されているということも判明しました。
その後12月には、一般向けのパブリックテストが行なわれたようです
しかし、この時点になっても情報は限られ、発売時期やハードのスペックなどは明らかになりませんでした。
■4Gamer.net ― Panasonicの新型ゲーム機「Jungle」のパブリックテストが近日にスタート。ただし,ハードのスペックや発売時期は依然として不明のまま
ですが、今年2011年3月のはじめ、以下のようなニュースが。
■パナソニックの携帯ゲーム機 The Jungle 開発中止
情報がしばらくなかった後のいきなりの開発中止発表。公式声明では「パナソニックは市場および戦略の方向性の変化により、さらなる開発を中止にすることにした」とのこと。これを受けて営業面で無理と判断された、パブリックテストが思わしくなかったなどの推測が流れましたが、理由は一切不明です。
期待していたゲーマーの間には残念がる声があがりましたが、反面、3社で席巻しているゲームハード市場に新規に乗り込む無謀さから、「やっぱり」と思う人も少なくなかったようです。
しかし4月10日、以下のようなニュースが流れます。
■MaxConsole - New PSP style Panasonic Portable revealed... the eX3(英語) ※リンク切れ
そして日本のネットでは、先日開発が中止となったJungleの後継機が今度はPSPのような携帯機として登場か?!という噂が流れました。
ですが、英文を最後まで読んでいけばすぐにわかるのですが、これは残念ながらパナソニックの一般向けゲームハードではありません。これは”as passenger planes”、すなわち飛行機の乗客向けのエンターテイメントシステム。つまるところ飛行機の載った時、ファーストクラスなどについている(私はそんなクラス乗ったことないけど)テレビの新製品みたいなものかなと。
■[海外ゲームニュース]パナソニックのeX3はゲーム機なのか!? - ファミ通.com
ちなみにサイトも存在します。
■Panasonic Avionics(英語)
もしかしたらこのex3、かつてM2がゲーム機としての販売を中止しても他の用途で使われたように、The Jungleの技術の一部が活かされているのかもしれません。
その後は、The Jungleの開発中止も、このex3も比較的最近のことなのもあり、新しいニュースはまだ入ってきていません。
というわけで、任天堂、ソニー、マイクロソフトが占めるゲームハード事業にパナソニックが再参入することは幻となってしまいました(現時点で、ですが)。
しかし、iPhoneなどやや角度の違うものならともかく、ハード事業にはやはりこの固い牙城を新規に崩すのは不可能なのでしょうか。いや、そうは思いません。
ソニーがプレイステーションを出す時も、新参のソニーが今まで長いことゲーム業界で販売をしてきた任天堂やセガどころかNEC(PCエンジン)も抜かせるわけがないと思う人もかなりいました。しかしその後プレイステーションは売上げトップのハードとなりました。iPhoneだって、今ほどの存在になるとは発売当初思っていた人は少ないでしょう。
新ハードといっても、それが予想もつかない楽しみ方をさせるものであれば、今の状態から大きなシェアを奪う可能性はあるのではないかと思われます。それがゲームに限らず、コンピュータ、IT産業の常ですし。
10年後、もしかしたら「10年前はこれがこんなに売れているとは思わなかったなあ」となっているかもしれません。ちなみに自分はセガがまた参入してきたら、嬉しいなと思っている1人だったりします。
Dreamcast JP NTSC / blitzmaerker
■3DOはあれからどうなったのか : Timesteps
では、今日はその噂の新ゲームハードがどうなったかを書いていくことにします。
February consoles 07 1080081758 / 南宮博士
3DO Real以降のパナソニックとゲームハードの関係
3DO Realの歴史についてはこの前書いたので割愛します。上のリンクからエントリーをお読みください。
さて、3DO Realが終焉を迎え、その後継機とされたM2もゲーム機としては開発中止となり、その後はマイクロソフトが参入したり、セガがハードメーカーから脱退したりしつつ、任天堂、SCE、マイクロソフトがハードメーカーとして活躍する感じとなります。その間パナソニック(当時は会社としては松下電器産業)は自社のゲームハードとは無縁でした。
ただ、ゲームハードと全く無縁だったかというとそうではありません。任天堂が発売していたゲームキューブのソフトには8cmの独自ディスクが使われていたのですが、これは任天堂と松下電器産業が共同開発をしたものです。
また、DVD-Videoの再生が可能なゲームキューブ互換機の「Q」も、2001年12月14日に発売されました。銀色の見た目が印象的です。
Panasonic Q (SL-GC10) / mbiebusch
これ以降も松下電器が開発の中心となったSDメモリーカードが、Wiiなどゲームの外部記憶媒体として使われることはありましたが、3DOやM2のように自社のハードを製造、販売するという情報は全く出てきませんでした。
新ゲームハード「The Jungle」の開発を発表
しかし2010年の10月4日、とあるニュースが流れます。
■パナソニックの携帯ゲーム機 The Jungle、ティーザーサイトがオープン
■Panasonic、新型オンラインゲーム専用携帯ゲーム機「Jungle」を発表 - GIGAZINE
■Exclusive: Panasonic Jumps Back Into Gaming With A New Handheld: The Jungle(英語)
パナソニックから「The Jungle」という新ハードの情報を載せたティーザーサイドが公開されたとのこと。
この時の(現在もですが)ゲーム市場はAppleのiPhoneアプリやソーシャルゲームなど全く違う角度からの対抗軸はあったものの、昔ながらのゲーム中心のハード市場は任天堂、ソニー、マイクロソフトが席巻していました。そこにM2の中止以来表に出ない存在であったパナソニックがゲームハード事業に参入するというニュースは、驚きを持って迎えられました。
さて、この時の発表では詳細は書かれてはいませんでしたが、ティーザーサイトで公開されたものの動画や画像などから、ノートパソコン(ネットブック)のような大きさでキーボードがついている携帯機で、ソフトはオンライン専用ということが判明しました。つまり今までのゲームハードのようにパッケージソフト+ハードではなく、オンライン専用に特化する計画のものだったようです。
そして、第1弾としてブラウザゲーム「BATTLESTAR GALACTICA ONLINE」が予定されているということも判明しました。
その後12月には、一般向けのパブリックテストが行なわれたようです
しかし、この時点になっても情報は限られ、発売時期やハードのスペックなどは明らかになりませんでした。
■4Gamer.net ― Panasonicの新型ゲーム機「Jungle」のパブリックテストが近日にスタート。ただし,ハードのスペックや発売時期は依然として不明のまま
「The Jungle」開発中止
ですが、今年2011年3月のはじめ、以下のようなニュースが。
■パナソニックの携帯ゲーム機 The Jungle 開発中止
情報がしばらくなかった後のいきなりの開発中止発表。公式声明では「パナソニックは市場および戦略の方向性の変化により、さらなる開発を中止にすることにした」とのこと。これを受けて営業面で無理と判断された、パブリックテストが思わしくなかったなどの推測が流れましたが、理由は一切不明です。
期待していたゲーマーの間には残念がる声があがりましたが、反面、3社で席巻しているゲームハード市場に新規に乗り込む無謀さから、「やっぱり」と思う人も少なくなかったようです。
「ex3」はパナソニックの新ハード?
しかし4月10日、以下のようなニュースが流れます。
■MaxConsole - New PSP style Panasonic Portable revealed... the eX3(英語) ※リンク切れ
そして日本のネットでは、先日開発が中止となったJungleの後継機が今度はPSPのような携帯機として登場か?!という噂が流れました。
ですが、英文を最後まで読んでいけばすぐにわかるのですが、これは残念ながらパナソニックの一般向けゲームハードではありません。これは”as passenger planes”、すなわち飛行機の乗客向けのエンターテイメントシステム。つまるところ飛行機の載った時、ファーストクラスなどについている(私はそんなクラス乗ったことないけど)テレビの新製品みたいなものかなと。
■[海外ゲームニュース]パナソニックのeX3はゲーム機なのか!? - ファミ通.com
ちなみにサイトも存在します。
■Panasonic Avionics(英語)
もしかしたらこのex3、かつてM2がゲーム機としての販売を中止しても他の用途で使われたように、The Jungleの技術の一部が活かされているのかもしれません。
その後は、The Jungleの開発中止も、このex3も比較的最近のことなのもあり、新しいニュースはまだ入ってきていません。
これからゲームハード事業に新規参入するメーカーは出て来るか
というわけで、任天堂、ソニー、マイクロソフトが占めるゲームハード事業にパナソニックが再参入することは幻となってしまいました(現時点で、ですが)。
しかし、iPhoneなどやや角度の違うものならともかく、ハード事業にはやはりこの固い牙城を新規に崩すのは不可能なのでしょうか。いや、そうは思いません。
ソニーがプレイステーションを出す時も、新参のソニーが今まで長いことゲーム業界で販売をしてきた任天堂やセガどころかNEC(PCエンジン)も抜かせるわけがないと思う人もかなりいました。しかしその後プレイステーションは売上げトップのハードとなりました。iPhoneだって、今ほどの存在になるとは発売当初思っていた人は少ないでしょう。
新ハードといっても、それが予想もつかない楽しみ方をさせるものであれば、今の状態から大きなシェアを奪う可能性はあるのではないかと思われます。それがゲームに限らず、コンピュータ、IT産業の常ですし。
10年後、もしかしたら「10年前はこれがこんなに売れているとは思わなかったなあ」となっているかもしれません。ちなみに自分はセガがまた参入してきたら、嬉しいなと思っている1人だったりします。
Dreamcast JP NTSC / blitzmaerker