インターネット上では、その時々のニュースにおいてインパクトがあるものだった場合、お笑いのための「ネタ」にさせられることがよくあります。その手段は画像だったり文章だったり、最近なら動画だったり。時にはかなり不謹慎に思えるようなものもあるのですが(あと著作権的な問題もありますが)、純粋にうまいなあと思わせるものもあったりします。
さて、インターネットが発展してきた2002年、とあるニュースがあったのですが、そこで逮捕された人物がネタにされまくるという事件がありました。そのニュースの名前は「ジー・オーグループ大規模詐欺事件」。逮捕された主犯格の名前は、大神源太。

Tokyo evening /写真素材: Japanexperterna
ITバブルより少しさかのぼる1996年頃、ジー・コスモス・ジャパンという会社が設立されます。トップは大神源太という人物。そして後に広告代理会社であるジー・コスモス・ジャパンをその中のグループ会社として設立し、そこを窓口として投資を募ります。
手口としては、ジー・コスモス・ジャパンが在宅ワークの求人広告を出し、そこに資料請求してきた人に「ジーシステムの手引き」という冊子を送付します。「ジーシステム」とは、消費者が商品ガイドから商品を選択し、その商品の広告費を出し、通信販売でエントリーした商品が売れると、グループ会社から売り上げに応じた配当金(報償金)が消費者に支払われる仕組み。そこで応募してきた人には高額な配当が確実に得られる」と喧伝していたそうです。
しかしその後さらなる資金を集めるため、「確約エントリー」「広告活動代金」「買収設立活動代金」などの名称で元本保証で高配当を謳った資金集めを行っていたとのこと。
同時に、広報誌に著名人を使ったり、CMで権威付け、信用付けを行っていたようです。
ところが、あとでわかったことですが、「ジーシステム」においては広告、通信販売事業はほとんど行われておらず、資金を集めるための名目となっていたようです、
ほかにもジーオーグループには「ジー・ユニバーサル」「神埼共栄開発」「みなもと債権回収」「ジー・オー・フィルムインターナショナル」「大義新聞社」などがあったものの、実際に事業はほとんど行われていなかったようです。
■参考:ジーコスモスって? - Goo知恵袋(2002年1月の書込み)
ジーオーグループは集めた資金を使い2001年9月、フィリピンにあるユニトラスト・ディベロップメント・バンクに13億円を投資し買収を行いました。そして同行はバンク・オブ・オーガミ(大神銀行)と改称し、会員に高金利を謳って預金の勧誘をさせたとのこと。
しかしフィリピン中央銀行は、この買収を認可せず、2002年1月に銀行は経営破綻してしまいました。
■参考:フィリピンの銀行は大丈夫か、安全な銀行は「フィリピン・マニラ」 - 海外・気まま暮らし、マニラ・ソウル・香港
そして、2001年終わりごろからこの企業、そしてジーシステムについての疑問が、実際に携わった人やそれを見た人から浮かんできます。特に話題となったのは、当時まだ出来てそれほど経っていない2ちゃんねるや、悪徳商法?マニアックスだったようです
そして、ITバブルで広まりつつあったネット上において、このジー・オーグループの存在がにわかに話題になり始めます。
こうなると情報の広がりは早く、マスコミなどでも1月頃から頻繁にとりあげられるようになりました。
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2002年02月25日には被害弁護団が結成。詐欺容疑で告訴、破産申し立て要求などが行われます。会見によると、約40件の被害相談を把握しており、中には被害額が8000万円に上る人もいたということ。
■弁護士紀藤正樹のLINC/トップニュース
■参考:詐欺容疑などで告訴へ 「ジー・オー」被害弁護団(京都新聞)
ちなみにそのような流れに対して、公式HPで発表されたのが以下の内容。
■ジーオーグループ ホームページ(web.archive.orgのアーカイブ)
その後、2002年3月、警視庁が出資法違反でグループ各社に一斉捜索が入ります。
その後2002年4月には、大神個人とグループ会社に破産宣告が行われます。
そしてとうとう2002年9月には、警視庁が大神と会社幹部七人を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)と詐欺容疑で逮捕することになりました。
さて、最初に「インターネットでネタにされた」と書きましたが、その理由は単に巨額詐欺事件だっただけではなく、大神源太名誉会長(当時)が異様な形で目立っていたからです。
まず、事業のひとつとして(それに売るつもりがあったのが投資目的の見せかけだったのかは不明ですが)フィリピンを原産とするバナバの葉を原料とする茶「ユニバG」というものを売り出していて、ハリウッド俳優ジャン=クロード・ヴァン・ダムを起用したCMを出していました。
それの販促ビデオには大神名誉会長が自ら出ていたのですが、それが映画仕立てで、なおかつ大神名誉会長のハリウッド俳優になったようなナルシストな演技が微妙な笑いを集め、話題となりました。
■参考:ユニバG物語◇俺様のジャングル大冒険。 | 社会の窓からこんにちわ
また、逮捕前にはワイドショーなどでもとりあげられるようになりますが、そこでの態度や、また先述の銀行買収後の有志を募る際、マニラ中に大神の顔写真を掲載した巨大な看板広告を乱立させたことも話題となりました。
いろいろなネタが多かったのもあり、これらビデオや画像はよくネタになりました。
■大神源太プレミアムカレンダーセクシー編
■大神源太名誉会長リンク
ちなみに、先の「ユニバG物語」だけではなく、大神名誉会長は映画を作っていたのです。それは『ブレイド・オブ・ザ・サン(太陽の刀)』というアクション映画。5億円を費やし、ジェフ・スピークマンと共演ということで全世界で180億円の興行収入を見込んでいたそうですが、逮捕により公開できず、現在フィルムは行方不明だそうです。
しかし、いろいろな意味で見てみたいという声は当時ネットのあちこちで聞かれました。逮捕後に上映したら、それなりの興行収入が入ったんじゃ…とかちょっと思ってしまいます。
以下はYouTubeにあった予告編。
その後、2005年には破産処理が終結します。
2007年7月、東京地方裁判所で大神源太に懲役18年の実刑判決。それに不服として控訴。
その後の2008年10月、東京高裁同じく懲役18年の実刑判決。上告。
そして2010年9月27日、最高裁判所は大神源太の上告を棄却することを決定。18年の実刑判決が確定しました。
ちなみにこのニュースを見て、ネット上でのかつての映画とかを覚えている人もわりといたようです。
しかし逮捕されたのが2002年9月ですから、結審までにまるまる8年かかっているのですね。
この事件から同時期から少し後、これと似たような事件が起こります。そこは同じく大規模な資金集めをして、そして破綻、その後当事者が詐欺で逮捕されるという事件が起こりました。そのグループ名はエル・アンド・ジー、そこで使われた仮想通貨の名前は「円天」。
このように、この手の投資詐欺というのは手を変え品を変え、遙か大昔から行われています。そしてこの後もJM-NET事件や近未來通信 -事件などが出てきてますし。
■関連:Timesteps : JM-NET事件はそれからどうなったのか
少しでも儲けられる手段には飛びつきがちですが(特に内職商法などには)、その折には怪しいものではないか、十分に注意してください。
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その他参考
■ジー・オーグループ - Wikipedia
さて、インターネットが発展してきた2002年、とあるニュースがあったのですが、そこで逮捕された人物がネタにされまくるという事件がありました。そのニュースの名前は「ジー・オーグループ大規模詐欺事件」。逮捕された主犯格の名前は、大神源太。

Tokyo evening /写真素材: Japanexperterna
ジーシステムを名目とした資金集め
ITバブルより少しさかのぼる1996年頃、ジー・コスモス・ジャパンという会社が設立されます。トップは大神源太という人物。そして後に広告代理会社であるジー・コスモス・ジャパンをその中のグループ会社として設立し、そこを窓口として投資を募ります。
手口としては、ジー・コスモス・ジャパンが在宅ワークの求人広告を出し、そこに資料請求してきた人に「ジーシステムの手引き」という冊子を送付します。「ジーシステム」とは、消費者が商品ガイドから商品を選択し、その商品の広告費を出し、通信販売でエントリーした商品が売れると、グループ会社から売り上げに応じた配当金(報償金)が消費者に支払われる仕組み。そこで応募してきた人には高額な配当が確実に得られる」と喧伝していたそうです。
しかしその後さらなる資金を集めるため、「確約エントリー」「広告活動代金」「買収設立活動代金」などの名称で元本保証で高配当を謳った資金集めを行っていたとのこと。
同時に、広報誌に著名人を使ったり、CMで権威付け、信用付けを行っていたようです。
ところが、あとでわかったことですが、「ジーシステム」においては広告、通信販売事業はほとんど行われておらず、資金を集めるための名目となっていたようです、
ほかにもジーオーグループには「ジー・ユニバーサル」「神埼共栄開発」「みなもと債権回収」「ジー・オー・フィルムインターナショナル」「大義新聞社」などがあったものの、実際に事業はほとんど行われていなかったようです。
■参考:ジーコスモスって? - Goo知恵袋(2002年1月の書込み)
フィリピンに大神銀行
ジーオーグループは集めた資金を使い2001年9月、フィリピンにあるユニトラスト・ディベロップメント・バンクに13億円を投資し買収を行いました。そして同行はバンク・オブ・オーガミ(大神銀行)と改称し、会員に高金利を謳って預金の勧誘をさせたとのこと。
しかしフィリピン中央銀行は、この買収を認可せず、2002年1月に銀行は経営破綻してしまいました。
■参考:フィリピンの銀行は大丈夫か、安全な銀行は「フィリピン・マニラ」 - 海外・気まま暮らし、マニラ・ソウル・香港
ネット上でわき起こった疑問
そして、2001年終わりごろからこの企業、そしてジーシステムについての疑問が、実際に携わった人やそれを見た人から浮かんできます。特に話題となったのは、当時まだ出来てそれほど経っていない2ちゃんねるや、悪徳商法?マニアックスだったようです
そして、ITバブルで広まりつつあったネット上において、このジー・オーグループの存在がにわかに話題になり始めます。
こうなると情報の広がりは早く、マスコミなどでも1月頃から頻繁にとりあげられるようになりました。
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被害弁護団結成
2002年02月25日には被害弁護団が結成。詐欺容疑で告訴、破産申し立て要求などが行われます。会見によると、約40件の被害相談を把握しており、中には被害額が8000万円に上る人もいたということ。
■弁護士紀藤正樹のLINC/トップニュース
■参考:詐欺容疑などで告訴へ 「ジー・オー」被害弁護団(京都新聞)
ちなみにそのような流れに対して、公式HPで発表されたのが以下の内容。
■ジーオーグループ ホームページ(web.archive.orgのアーカイブ)
一斉操作~破産、そして逮捕
その後、2002年3月、警視庁が出資法違反でグループ各社に一斉捜索が入ります。
その後2002年4月には、大神個人とグループ会社に破産宣告が行われます。
そしてとうとう2002年9月には、警視庁が大神と会社幹部七人を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)と詐欺容疑で逮捕することになりました。
ネット上でネタにされた動画など
さて、最初に「インターネットでネタにされた」と書きましたが、その理由は単に巨額詐欺事件だっただけではなく、大神源太名誉会長(当時)が異様な形で目立っていたからです。
まず、事業のひとつとして(それに売るつもりがあったのが投資目的の見せかけだったのかは不明ですが)フィリピンを原産とするバナバの葉を原料とする茶「ユニバG」というものを売り出していて、ハリウッド俳優ジャン=クロード・ヴァン・ダムを起用したCMを出していました。
それの販促ビデオには大神名誉会長が自ら出ていたのですが、それが映画仕立てで、なおかつ大神名誉会長のハリウッド俳優になったようなナルシストな演技が微妙な笑いを集め、話題となりました。
■参考:ユニバG物語◇俺様のジャングル大冒険。 | 社会の窓からこんにちわ
また、逮捕前にはワイドショーなどでもとりあげられるようになりますが、そこでの態度や、また先述の銀行買収後の有志を募る際、マニラ中に大神の顔写真を掲載した巨大な看板広告を乱立させたことも話題となりました。
いろいろなネタが多かったのもあり、これらビデオや画像はよくネタになりました。
■大神源太プレミアムカレンダーセクシー編
■大神源太名誉会長リンク
映画『ブレイド・オブ・ザ・サン(太陽の刀)』
ちなみに、先の「ユニバG物語」だけではなく、大神名誉会長は映画を作っていたのです。それは『ブレイド・オブ・ザ・サン(太陽の刀)』というアクション映画。5億円を費やし、ジェフ・スピークマンと共演ということで全世界で180億円の興行収入を見込んでいたそうですが、逮捕により公開できず、現在フィルムは行方不明だそうです。
しかし、いろいろな意味で見てみたいという声は当時ネットのあちこちで聞かれました。逮捕後に上映したら、それなりの興行収入が入ったんじゃ…とかちょっと思ってしまいます。
以下はYouTubeにあった予告編。
逮捕後、どうなったのか
その後、2005年には破産処理が終結します。
2007年7月、東京地方裁判所で大神源太に懲役18年の実刑判決。それに不服として控訴。
その後の2008年10月、東京高裁同じく懲役18年の実刑判決。上告。
そして2010年9月27日、最高裁判所は大神源太の上告を棄却することを決定。18年の実刑判決が確定しました。
ちなみにこのニュースを見て、ネット上でのかつての映画とかを覚えている人もわりといたようです。
しかし逮捕されたのが2002年9月ですから、結審までにまるまる8年かかっているのですね。
手を変え品を変え行われる詐欺
この事件から同時期から少し後、これと似たような事件が起こります。そこは同じく大規模な資金集めをして、そして破綻、その後当事者が詐欺で逮捕されるという事件が起こりました。そのグループ名はエル・アンド・ジー、そこで使われた仮想通貨の名前は「円天」。
このように、この手の投資詐欺というのは手を変え品を変え、遙か大昔から行われています。そしてこの後もJM-NET事件や近未來通信 -事件などが出てきてますし。
■関連:Timesteps : JM-NET事件はそれからどうなったのか
少しでも儲けられる手段には飛びつきがちですが(特に内職商法などには)、その折には怪しいものではないか、十分に注意してください。
//----------------------------
その他参考
■ジー・オーグループ - Wikipedia