1995年、この年は1月には阪神淡路大震災が起こったと思ったら、3月には戦後犯罪史上最大クラスと言える地下鉄サリン事件が発生します。その後この年のニュースやワイドショーはこの2つの話題が必ず報じられるほどになりました。
そのようなテレビ番組や雑誌の特集において、オウム真理教直営のパソコンショップの名前をよく目にしました。その名前は「マハーポーシャ」。
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1995年の地下鉄サリン事件などの一連のオウム真理教事件


地下鉄サリン事件など、オウム真理教関連の一連の事件については当時見てきた人にはいまだに記憶に残っているものだと思いますが、既に20年が経過していて風化、もしくは知らない世代も出て来ていることでしょう。しかしその概要を書くととてつもなく長くなるので以下を。

オウム真理教

あまりの事件の重大さでオウムについての報道は連日なされましたが、その中にはオウム真理教が資金源として経営していた店の名前も度々報じられました。
それは弁当屋の『オウムのお弁当屋さん』。さらに高円寺や中野など東京各地にあった、ラーメン屋の『うまかろう安かろう亭』。「ポアカレー」という名前のカレーを売っていたことや、「コスモクリーナー」と称する空気清浄機が置いてあったことでも有名でした。
事件からちょっと後くらい、当時学生だった自分はそれらの関連のところを近くまで見に行った記憶があります。中野のうまかろう安かろう亭とか野方の教団支部とか。予想通り警察官が近くでピリピリとした空気を漂わせていましたが。
そしてもうひとつ有名だったのが、パソコン販売ショップの『マハーポーシャ』。


パソコン販売ショップ「マハーポーシャ」


「マハーポーシャ」は南青山に存在し、当時のニュースでも連日報道されていた「オウムビル」の一つ(1階)に入っていました。ワイドショーで教団ビルと共に度々流れたのでこちらのほうが世の中的には有名でしょうが、秋葉原の中央通り沿いのビルの6階にも店舗がありました。ほかにも大阪、名古屋、京都などに支店があったようです。
実は事件前からPC(DOS/Vパソコン)ユーザーにとっては『マハーポーシャ』の名前は有名でした。いや、PCユーザーだけではなく、秋葉原によく行っていた人は知る名前だったと思います。その理由としては、当時から激安パソコンを売る店としてマニアの間で有名だったこと。

1993年あたりといえば、まだWindows95の登場前で、NECのPC-98の全盛期でした。その時にDOS/Vパソコン(PC/AT互換機)を売っていたのですが、デスクトップパソコンで同スペック帯のものが通常の家電量販店で買うと20万円代、ちょっと上になると余裕で30万以上した時代に10万円台中盤という非常に安価で発売されていたことが有名でした。
当時のマニュアルがYouTubeにありました。


安さの理由は簡単で、組み立てや営業などを信者が修業の名目で行っており、本来掛かるはずの人件費がなかったこと。サポートについてはあまりよろしくなかったようですが、それでも当時としては破格だったので、ユーザーが集うことになります。

■参考:安原製作所/ガジェット随想

しかしここが秋葉原機に来た人のインパクトに残った一番の理由は、秋葉原の道路上で大声のコールを出しつつチラシ配りをしているというちょっと異様な光景を目にした人が多かったからだと思います。それは一人がリードをして「安くていいパソコンはマハーポーシャ!」と声を出すと、それにコールするように周りの人間も「やっすい!やっすい!やっすい!」と声を出しつつ周りにチラシを差し出す、という感じ。あとなんか変な帽子も被ってました。
私の記憶では、それらがよくいたのは、店があるところからは離れていたところ(店の近くでも配布してたかもしれないけど)。電気街表の中央通りから一本入ったツクモの店舗が多い一角で、昔はラオックスが存在したところ。一部の人には秋月電子や千石電商がある近くと言えばわかりやすいかもしれません。
当時配布されていたチラシは以下に。

マハーポーシャのチラシ その1

あと当時のチラシ配りコールがどんなだったのかというのもあります。

マハーポーシャ

まあその場所からはオウム事件後しばらくしてからそれらはいなくなったのですが、その数年後に今度は絵はがきを配るエウリアンが出ることになったというオチもつきますが。

あと余談ですが、少年キャプテンに連載されていた安永航一郎氏の『頑丈人間スパルタカス』というギャグマンガでは「ホトトギス神秘教」という団体が富士の裾野でパソコン作ってるというネタを事件前にやってまして、それがインパクトに残っています。


マハーポーシャのゲーム?


このマハーポーシャですが、パソコンを販売するだけではなく、ゲームも製造、販売していたようです。タイトルは『マハーポーシャのRPG 数学勝利者』というもので、数章に分けられていた模様。これらは当時のチラシでも載っていたようです。この当時、パソコンショップが独自でパソコン用のゲームを出すことは珍しくはなかったので(九十九電機やソフマップ、パソコンショップ高知なども出していた)それのひとつと言えるでしょう。
ただ、これは実際に見たことはなく、本当に製品として出されたのかよくわからなかったのですが、調べてみると驚いたことにYouTubeにそのゲーム映像があがっていました。



DOS製で1992年製造でマハーポーシャのロゴや文字。登場人物には、後のオウム報道で目にするような信者がモデルとなっていたであろう人たちが存在しています。
※ただ、当時実物を自分が確認したわけではないので、上の動画が本当に当時作られたものかどうか完全には断定できないと書き添えておきます。事件後オウムをテーマにしたゲームは幾つか出ていたものもあるので。これ(YouTube。音が出ます)とか。


地下鉄サリン事件後のオウム系PCショップ


1995年3月、地下鉄サリン事件が発生。その時からオウム真理教の大捜査が始まり、連日上九一色村のサティアンの様子がテレビに写し出されました。

サティアンのあった上九一色村はその後どうなったか : Timesteps

その過程でマハーポーシャほかオウムが運営する店が閉鎖します。ただ、1995年7月のマハーポーシャのチラシが存在するので、事件後、そして教祖の逮捕(1995年5月)後も年内くらいは続いていたようです。

しかし、そこで終わったわけではありませんでした。実はその後も名前を変えてオウム系列のパソコンショップは営業されていました。それらの名前は「トライサル」「ザ・グレイスフル」「PC Bank」という店舗。
これらについては当然と言えば当然ですがオウム運営という色は全く影を潜めており、普通のパソコンショップとして運営されておりましたし、店も否定しておりました。しかしながらいろいろな調査でここがオウム真理教関係の運営だということは明るみに出ました。今思えば、警察のあれだけ厳しいオウム監視の中でしばらく運営できていたのが謎なくらいですが。
そのうち『トライサル』が入っていた建物ですが、前述のマハーポーシャがよくチラシを配っていた一角の近くにありました。そこの古い雑居ビルに入っていたのですが、当時同じ建物に『とらのあな』の一号店が入っており、中古同人誌を売っていた記憶があります。
ザ・グレイスフルは、当時自作で有名なDOS/Vパラダイスやクレバリー、TWO TOPのある通りのあたりだったと思います。あと、西新宿に「ソルブレインズ」という店もあり、それもオウムだった?という話もあります(未確認)。

しかしトライサルには1999年の7月に捜査が入り、店長が逮捕。容疑は「電磁的公正証書原本不実記載」。その時にトライサル側は自分たちはオウムと無関係であることと、警察やマスコミを責める文章が公開されました。以下は、松本サリン事件被害者弁護団事務局長も務めた紀藤正樹弁護士のサイトにあった資料より。

1999年7月12日 Trisal(保存ログ)

この時にトライサルは閉店し、その他の店舗もそれから急速になくなってゆきました。

■参考:オウム真理教のパソコンショップに突撃!! - ニコニコ動画:GINZA
■参考:秋葉原の怪しいパソコンショップ


マハーポーシャ(やっと)消滅


地下鉄サリン事件の後、オウム真理教関連の企業と見做されるところはしばらくの間運営されていたようです。しかし次第に活動を停止してゆきました。

■参考:オウム真理教--オウム真理教ー関連会社の一部など

ただ、これらにはないものを、今のオウムの後継団体が運営している可能性はありますが、詳細は不明。
そしてマハーポーシャですが、2002年10月、法務省による休眠会社の整理のため、旧商法第406条ノ3の規定により12月3日付で解散したとみなされるようになります。その10年後の2012年3月、商業登記規則第81条1項の規定にある「解散の登記をした後10年を経過したとき」登記簿の閉鎖が出来るという要項により、法人格が消滅したようです。

今、南青山のマハポーシャは、以下のページによると2015年4月には解体作業に入っていた模様。

旧オウム真理教東京総本部 (東京都港区) - 東京DEEP案内

現在はGoogleマップで調べた限りでは、更地になっています。

そして秋葉原で店舗が入っていたビルも、関係のないテナントが入っています。その後の関連会社も同じく。


近年の秋葉原での注意


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そのような感じでかの教団がかつて秋葉原に存在していたという歴史。

しかしパソコンを売っているわけではありませんが、最近の秋葉原においても怪しい宗教勧誘、それと悪徳商法と思われるものがけっこう出没しているようです。考えてみればもうオウムの一連の事件から20年が経過していて、その時生まれていなかった子供が成人になっているのですよね。それだけ間が空けば記憶の風化どころか、そもそも知らない人が増えていて警戒心がなくなっていてもも不思議ではありません。それは秋葉原でもそうですが、かつてカルトなどの団体の勧誘の温床となった大学のサークルなどにおいても。
今でもそういったものに巻き込まれないように、事前にそのような例を知っておき、注意をしたほうがよいでしょう。

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他参考リンクなど

マハーポーシャ - Wikipedia
■写真素材:フリー写真素材「フォトマテリアル」 – 無料・高解像度・商用可のホームページ写真素材サイト
■写真素材:フリー写真素材フォトック【商用利用可・報告不要】