ジンバブエのハイパーインフレをまとめたエントリーは、最初のエントリー以来、定期的に扱っています。

ジンバブエはあれからどうなったのか : Timesteps
ジンバブエのハイパーインフレで、とうとう「垓」という単位が見えた : Timesteps
ジンバブエのハイパーインフレに変化の兆し? : Timesteps
ジンバブエのハイパーインフレはそれから収まったのか : Timesteps
2009年初頭あたりのジンバブエの動きまとめ : Timesteps
2009年のジンバブエはどうなっているのか : Timesteps

そんなわけで、今年もジンバブエが今どうなっているかについて書いていこうかと。
One Hundred Billion Zimbabwe Dollars
One Hundred Billion Zimbabwe Dollars / Smath.



ハイパーインフレ収束、生産設備の稼働率も向上


まず、ジンバブエがネットで有名になったのは、自国通貨ジンバブエドルがハイパーインフレとなり、兆どころか京や垓という単位までもが見えてしまったことでしょう。

しかし、2009年のエントリーでも書きましたが、もうハイパーインフレは起きてはいないようです。2億%だったハイパーインフレは、1%未満まで低下したとのこと。
その一番の理由は、それまで禁じていたアメリカドルの流通が認められ、それが国内で流通する通貨になったことでしょう。同時に、隣国南アフリカ今日枠国の通貨であるランドも使われているようです。それ以後、ジンバブエドルの発行は無期限停止されて、それは今でも続いているとのこと。
国内の通貨流通は一応この3つの通貨が主に使われているようですが、ジンバブエドルがすでに使われていない地域もあるとのことです。

そして経済を見ると、こちらも生産設備の稼働率は4%から50%近くに上昇、GDP成長率は4%程度で、10年には6%に達するという予測が出ています。

これはそれまでジンバブエに独裁体制を敷いていたムカベ大統領が混乱の大統領選の末、野党のモーガン・ツァンギライ氏を首相とする連立政権に移行せざるを得なかったのも大きいでしょう。

■参考:ジンバブエに学ぶ2億%インフレの退治法 | 外交エディター24時 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト


まだまだ安定しない政治


しかし、政治のほうは落ち着いているとはいえないようです。昨年、ツァンギライ首相の車にトラックが衝突、夫人が死亡するという事故か事件かわからないことが発生したと書きましたが、このような対立、それによる混乱があちこちで残っているようです。それは国民にも過去のトラウマ、もしくは現在進行形で影響している模様。
あと、食糧不足危険度は10位にランクインしています。

ジンバブエ  歴史的ハイパーインフレは終息、今も続く政治的緊張・暴力への不安 - 孤帆の遠影碧空に尽き


その影響は国内だけではなく、隣国にも及んでいるようです。今年、サッカーワールドカップが行なわれた南アフリカは、アフリカ有数の経済的に潤っている地域であるが故、そちらにジンバブエからの移民、難民が流入する事態にもなり、問題が起きているようです。

■「移民襲撃」「スト」… 南ア、W杯の陶酔去り混乱の現実再び (1/3ページ) - MSN産経ニュース ※リンク切れ


中国との関係を強化


現在ジンバブエは人道問題などで欧米諸国と対立し、EUからも経済制裁を受けています。
しかし、逆に関係を強めているのが中国。経済協力関係を強化しています。これは他のアフリカ諸国同様、中国のアフリカ政策の一環と思われます。

■南アフリカ共和国:高速鉄道などの整備で中国と覚書?運輸省 - Bloomberg.co.jp ※リンク切れ
■参考:ジンバブエ大統領、香港で高級品お買い上げ? 写真2枚 国際ニュース : AFPBB News


ひろゆき、ジンバブエに


ちなみに今年、ネット上でジンバブエの名前がちょっと注目を集めたことがありました。それはワールドカップの時期、ひろゆきとニコニコ生放送がジンバブエに行って、ニコニコ生放送を行なったとのこと。

 
ASCII.jp:ひろゆきとニコニコ生放送が行く、アフリカ・ジンバブエの旅

その時に途方もない桁数のジンバブエドルはおみやげとして売られていたとのこと。  また、幸福度調査もやっていたようです。



安定は近いか、それとも遠いか


まとめると、例のハイパーインフレは収まったものの、まだまだ政治的に不安定なところが多いという感じですね。国としては徐々に回復はしているものの、長年の独裁政権や争いが起こしたものの影響はまだ取れていない感じです。ただ、そこで現在暮らす人が不幸かどうか、というのは他人の物差しでは測りづらいでしょうが。

さて、2011年、ジンバブエはこのまま今よりもよい状態になっているでしょうか。それを願いたいと思います。


■参考:ジンバブエ・ドル - Wikipedia
■参考:ジンバブエ - Wikipedia