※2008年の記事を、2014年に大幅加筆修正しました。

町で、コカコーラでもないのに真っ赤な自販機がうち捨てられていたのを見たことがないでしょうか?側面に「コスモス」と書いてあるものが。

それを管理していたのは、文字通り「コスモス」という会社、しかし売られていたのはジュースやタバコではなく、おおもちゃ。そう、それはかつておもちゃが売られていた自動販売機でした。
Cosmos-vending-machine,motegi-town,japan
"Cosmos-vending-machine,motegi-town,japan" by katorisi - 投稿者自身による作品. Licensed under CC 表示 2.5 via ウィキメディア・コモンズ.





コスモスという会社


「コスモス」という会社は1977年あたりから存在し、子供向けの低価格なおもちゃを製造していました。主力はカプセルトイ、いわゆるガチャガチャで、特に駄菓子屋やおもちゃ屋の店頭にそういったものが置かれました。まあこれがあとで問題になるのですが、それは後述。

そして 同社は1980年代の半ば頃から、積極的な事業展開を図ってゆきます。その主なものが回すガチャタイプの自販機、そして前述の赤い自動販売機での玩具販売展開。。これを各地に置いて、自社の開発するおもちゃを販売したのです。そしてなんと、CMまで打ってきます。私が子供のころは、夕方5時台の通称ルパンタイム(この名前は関東ローカルみたいですが)にこのCMが流されていた記憶があります。

CMを連投するだけあって最盛期の企業規模は大きく、1000名以上の社員、50社以上の支社があったようです。


パチモン商売


ただ、この会社で売られていたおもちゃというのが、実は当時流行っていたキャラクターやグッズを無断でパクった、いわゆるパチモンがほとんどだったのですよね。たとえばなめ猫を真似たもの、ファミコンを真似たものなど。中には本家で使われた写真をそのまま使っているようなものさえ存在したようです。当時、こういったものへの版権意識が低かったとはいえ、ここまでくると清々しいレベルです。

ちなみにこのコスモスグッズを集めている芸能人の人がいらっしゃって、そこのサイトには数々のコスモス製品が置いてあります。

■参考:ワッキー4649.com

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訴訟、そして倒産


しかし、このパチモン、冗談のわかる大人相手ならよかったのですが(いや本当はよくないけど)、子供用だったことで、実際に手に入れた子供が騙されたとか、ビックリマンやキン肉マン消しゴムの交換の際に、偽物を指摘されて泣くという現象が起きました。そう、前述のガチャガチャも、当時はバンダイとこのコスモスの両方のがあったのですが、私の住んでいたところでは、バンダイは本家で、コスモス版は偽物とされていました。しかし店によって並んでいるのが違うので、紛らわしいことこの上なし。ですので、100円のガチャガチャ(当時のバンダイ製の大半)を本物、50円、20円などのを偽物としていたような記憶があります。

そのような情況で、当時大人気だった『ビックリマン』シールも、ロッテの部分がロッになっているパチモン、通称「ロッチ」シールとして真似るのですが、それを引かされた子供のクレームが本家制作元ロッテに行くこととなり、結果、ロッテはコスモスに対して1988年訴訟を起こすことになります。
余談ですが、私たちの間では、別にこれを持っているからといっていじめなどに遭うことはなく、むしろネタ扱いされてよろこんで持っていました(当然交換不可ですが)。

その同時期にコスモスは解散。そして1988年6月に社長以下7人逮捕されるいという流れになり、ロッテが求めていた製品差し止めは事実上行われていたことになるようです。

そして各店舗に供給されていたコスモス製の自販機に商品を供給する者も、かといってそれを引き取る者もいなくなったため、大半が撤去されずに野ざらしになってしまった。もっとも、電気製品ではなく手動の自販機なので、危なくはないでしょうが(電気製でないが故に、設置店も意外と多かったのかもしれません)。

ガチャガチャのほうは、他のメーカーがその中に入れるカプセルトイを作って、勝手に供給しているので、今でも稼働中のものがそれなりにあるとか。まあ当時のままですから、汚さで簡単にバンダイ製と見分けがつくでしょう(まあ古いバンダイ製もたまに動いているけどね)。

コスモスのガチャガチャ 横二台連結タイプ.jpg
コスモスのガチャガチャ 横二台連結タイプ」。Wikipedia で発表。



コスモス、ゲームにも参入?


コスモス (玩具メーカー) - Wikipediaを見ていると、こんなのがありました。
またアーケードゲームが人気を集めるとゲーム業界に参入するべく自社でアーケードゲーム機を開発したが、コナミの『スクランブル』のキャラクターグラフィックを差し替えただけのデッドコピー作品『フライングトレイン』であったりといったことも、同社がテレビ放映したCM内で見られたという。

たぶんこれかな?

別ソースでも確認をとってみましたが、たしかにそのような名前がありました。もちろん世に出てないけど。しかし本当に出たら、コナミを敵に回していたのかなあ。

あと、こんなのも。
同社はテレビアニメ『魔境伝説アクロバンチ』などのスポンサーにもなり、テレビCMを流していた。この中でよく知られているものでは「白ボカシされたコスモス畑の中を全裸の白人少年少女(複数)が走る」があり、バックグラウンドは「僕らもほしいコスモス」というコーラスであったほか、画面下には「類似品にご注意ください」という趣旨のキャプションが入れられていた

たしかにそんなCMが流れていた記憶がありますが、お前が言うかと。


パチモン、ゲットだぜ!(書いてから後悔するフレーズ)


ただ、さきほどのワッキー貝山さんのページじゃないですが、たとえパチモンでも何となく時間が経つと当時とは違った印象を持つようになるのですよね。それは、現代において法整備が進み、そういったものの入る余地がなくなったせいかもしれません。それはそれで業界にとって健全化でいいとは思いますが、郷愁的にそういったものに感じるものはあるのです。


今も名を残すコスモス


それから数年が経ち、朽ちた自動販売機以外にはこれを目にする機会はなかったけど、どうやらここ近年、昔の社員が、現在新しいコスモスの会社、ヤマトコスモスを設立したようです。そして足利コスモスという会社もあり、栃木方面に残る自販機に玩具を提供しているようで、下のサイトでコスモスグッズの販売もしているとうこと。

■関連:COSMOS

バブルも過ぎもう30年経つ今、こんなところでおもちゃの自販機が今も生き続けていると思うと感慨深いですな。





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素晴らしきインチキ・ガチャガチャの世界 コスモスよ永遠に